乳幼児期は一生のうちで最も骨や歯の発達が盛んな時期。
それにともない、骨や歯をつくる材料であるカルシウムもたくさん必要になります。
とはいえ、どの食べ物からどれだけ取ればいいのかは具体的にはよく分からないですよね。
この記事ではカルシウムの必要性のほか、必要な量やカルシウムがとれる食材などを解説しているので、参考にしてみて下さい。
幼児期にカルシウムが大切な理由
みなさんもご存知のとおり、カルシウムは骨や歯の成分。
1年間で何cmも身長が伸びる幼児期は、骨の成長を促すカルシウムをたくさんとる必要があります。
また、カルシウムは骨や歯の形成だけではなく以下のような働きもあります。
- 筋の収縮に関わる
- 多くの酵素を正常に機能させる
- 血液を凝固させる
- 正常な心拍リズムを維持する
体の中では細胞内や血液中に含まれるカルシウムの量が厳密に決まっており、血液中のカルシウム濃度は一定に保たれています。
十分な量のカルシウムをとっていないと、必要に応じて骨から血液中にカルシウムが移動してしまい骨が弱くなることも。
健康的な骨をつくり、成長を促すために幼児期のカルシウム摂取は重要です。
幼児期に必要なカルシウム量は?
幼児期に必要なカルシウム量です。
カルシウムの食事摂取基準
性 | 男児 | 女児 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢等 | 平均 必要量 | 推定推奨量 | 目安量 | 耐用上限量 | 目標量 | 平均 必要量 | 推定推奨量 | 目安量 | 耐用上限量 | 目標量 |
1~2(歳) | 350 | 450 | 350 | 400 | ||||||
3~5(歳) | 500 | 600 | 450 | 550 | ||||||
6~7(歳) | 500 | 600 | 450 | 550 |
推定平均必要量、推奨量、目安量、耐用上限量、目標量:mg/日
耐用上限量とは健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
用語解説
推定平均必要量 | 日本人の50%において、性別・年齢ごとにその量を摂取すれば、栄養素・エネルギーが不足になることはない、と定められた量。 |
推奨量 | ほとんどの人が必要量を満たす量。 |
目安量 | ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。 |
耐用上限量 | 健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。 |
目標量 | 生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。 |
カルシウムを多く含む食材
カルシウムを多く含む食材を紹介します。
乳、乳製品以外にもカルシウムは含まれているので、覚えておくとカルシウムを効率よくとれる献立を考えやすくなります。
動物性の食品
カルシウムが含まれている動物性食品の一例です。
食品 | mg |
---|---|
パルメザンチーズ | 1,300 |
プロセスチーズ | 630 |
アイスクリーム | 140 |
ヨーグルト | 120 |
牛乳 | 110 |
干しエビ | 7,100 |
煮干し | 2,200 |
しらす干し | 520 |
ししゃも | 360 |
卵黄のみ | 140 |
チーズや干しエビのように本来の状態から加工して水分を飛ばしたものの方が、100gあたりのカルシウムの含有量が多くなります。
植物性の食品
カルシウムが含まれている植物性食品の一例です。
食品 | mg |
---|---|
高野豆腐 | 630 |
油揚げ | 320 |
がんもどき | 270 |
大根葉 | 260 |
かぶ葉 | 250 |
水菜 | 200 |
モロヘイヤ | 170 |
小松菜 | 150 |
ひじき | 1,000 |
カットわかめ | 870 |
高野豆腐やひじき、わかめなどはたんぱく質や食物繊維も同時にとれるため、幼児食では積極的に食べたい食品です。
カルシウムをとるときの注意点
カルシウムをとるときは以下に注意しましょう。
ビタミンDと一緒にとる
カルシウムは吸収率が低い栄養素の1つ。
カルシウムを豊富に含む代表食材の牛乳・乳製品で40〜50%程度、小魚や野菜、海藻からは20〜30%程度といわれています。
そのため、吸収率の低いカルシウムを効率よく体内に取り入こむビタミンDが重要になってきます。
ビタミンDが十分でないと体内にカルシウムを取り込めないので、カルシウムをとるときはビタミンDも同時にとるようにしましょう。
吸収を阻害する成分を避ける
カルシウムの吸収を阻害する成分を含む食品を同時にとらないようにしましょう。
- リン(インスタント食品、ハムやソーセージ、スナック菓子など)
- フィチン酸(米ぬか、玄米など)
- シュウ酸(ほうれん草、たけのこ、煎茶など)
- カフェイン(コーヒー、コーラなど)
これらの成分はカルシウムの吸収率を下げてしまいます。
とはいえ、完全に避けることは難しいため深く考えすぎず、カルシウムを積極的にとることをメインに献立などを考えていきましょう。
幼児が1日の中でカルシウムをしっかりとるコツ
カルシウムをしっかりとるコツを紹介します。
吸収率を高める食材と一緒にとる
カルシウムの吸収率を高める食材と含まれる栄養素です。
栄養素 含有量が多い食べ物
栄養素 | 食品例 |
---|---|
ビタミンC | パプリカ ブロッコリー レモン いちご |
ビタミンD | キノコ類 鮭 さんま モロヘイヤ ひじき しらす うなぎ |
マグネシウム | あおさ 昆布 アーモンド |
もともとカルシウムは体内に吸収されにくい栄養素なので、上記の食材と合わせて食べるのがおすすめです。
カルシウムが豊富な食材と合わせるのもよし、付け合わせの副菜に使うのもいいでしょう。
夜にとる
骨の細胞は常に新しいものへと入れ替わっていますが、骨へのカルシウム沈着は夜が優位になるため、カルシウムを夕方にとると骨の形成するのに役立つという報告があります。
また、睡眠中は体を大きくする成長ホルモンが出るため、体の材料になるたんぱく質やビタミンB1を含む牛乳は夜に飲むと良いでしょう。
幼児期にカルシウムが大切な理由まとめ
カルシウムは骨や歯を作るだけでなく、血液の凝固や心臓の拍動などにも関係しており、生命維持の根幹をになう重要な栄養素です。
牛乳やチーズなどの乳製品のほか、豆腐やがんもどき、小松菜などの植物性食品からもカルシウムの摂取は可能。
効率よくカルシウムを摂取するためには食品の組み合わせも大切で、ビタミンDやCなどと一緒に食べると効果的です。
カルシウムは幼児だけでなく大人も不足しがちな栄養素なので、献立の中に上手に取り入れて積極的にカルシウムをとりましょう。