幼児期はおやつを食べる量が増え始めるにともない、砂糖をとる量も増えがち。
しかし、摂取する量を考えないと虫歯や味覚の発達を妨げたり、癇癪の原因にもなるため注意が必要です。
この記事では砂糖が幼児に与える影響のほか、幼児が1日にとれる砂糖の量、摂取する量を減らす工夫などを解説しているので、幼児に与える砂糖の量に悩んでいる方は参考にしてみてください。
砂糖が幼児に与える4つの影響
砂糖が幼児に与える主な影響は以下の4つです。
順に解説します。
虫歯になる
虫歯の原因となる菌は、お口の中の食べかすなどに含まれる糖をエサとして増殖しますが、『白砂糖』や『チョコレート』のようないかにも甘いものだけではありません。
エサとなる糖は「砂糖」だけではなく、パンやご飯、果物などの「ブドウ糖(グルコース)」や、清涼飲料や菓子類などの「果糖(フルクトース)」なども含まれるのです。
とはいえ、『砂糖』は虫歯菌を歯面にしっかりと定着させる土台をつくり、より虫歯の進行を促してしまうことから、糖の中でも特に注意が必要とされています。
幼児期から糖分を含む食材のとり過ぎを控えることで虫歯の発生を抑えることができます。
味覚の発達を阻害する
幼児期は味覚が発達する重要な時期。
しかし、砂糖などを多く含む味の濃いものを与えると自然な食材の味を欲しがらなくなり、偏食の原因となる可能性があります。
砂糖たっぷりのおやつではなく、『とうもろこし』や『さつまいも』など自然の甘みを活かしたおやつを用意するようにしましょう。
肥満になる
砂糖は食べ物だけでなく、ジュースなどにも糖分として含まれています。
甘いおやつを食べながらジュース類をお茶のようにゴクゴクと飲むような生活は肥満のリスクが上昇する原因に 。
将来的に心管疾患や糖尿病などの生活習慣病になる可能性が高くなるため、幼児期から適切な食生活を心がけましょう。
癇癪をおこしやすくなる
砂糖をとると血糖値が急激に上がるため、一時的にエネルギーが急増し活発に動けますが、一定時間が経つと血糖値が急降下します。
血糖値が下がるとエネルギー不足や疲れを感じるためイライラしやすくなり、子どもの気分や行動に影響を与え癇癪として現れます。
また、砂糖をとることでアドレナリンなどの子どもの興奮状態を引き起こすようなストレスホルモンが分泌されるため、癇癪につながることがあります。
血糖値の急激な上昇を防ぐためには、一緒に食物繊維を多く含む食べ物を食べたりすると効果的です。
3歳以上の幼児が1日にとれる糖質の量は18g未満が理想
幼児が1日にとるべき糖分の摂取量について、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には具体的な糖分の摂取量について示されていません。
ただし、WHO(世界保健機関)のガイドラインによると、1日当たりにとる糖類の量をエネルギー総摂取量の10%未満(望ましいのは5%未満)に減らすよう推奨しています。
年齢 | 砂糖の量 | スティックシュガー換算 |
---|---|---|
1~2歳 | 12~13g未満 | 4本まで |
3~5歳以上 | 15~18g未満 | 5~6本まで |
お菓子やジュースに含まれる砂糖の量を知ろう
以下にお菓子やジュースに含まれる砂糖の量の目安を紹介します。
おやつの種類 | 1本(食)分の量 | 含まれている砂糖の量(約) |
---|---|---|
カルピス | 500ml | 56g |
コーラ | 500ml | 57g |
三ツ矢サイダー | 500ml | 55g |
ジンジャエール | 500ml | 45g |
100%オレンジジュース | 200ml | 16g |
100%りんごジュース | 200ml | 22g |
スポーツドリンク | 500ml | 30g |
乳酸菌飲料 | 65ml | 12g |
クッキー | 1枚10g | 4~5g |
チョコレート | 50g | 20~25g |
焼きプリン | 1コ140g | 25g |
シュークリーム | 1コ90g | 20~25g |
ドーナッツ | 1コ60g | 31g |
アイスクリーム | 200ml | 35g |
ショートケーキ | 1切れ100g | 30g |
大福 | 1コ90g | 25g |
どら焼き | 1つ65g | 20~30g |
ようかん | 1切れ50~60g | 30~40g |
カステラ | 1切れ50g | 25g |
メロンパン | 1コ130g | 30g |
ヨーグルト(加糖) | 180g | 5g |
上記の表を見ると、おやつの中には多量の砂糖が含まれていることがよく分かります。
菓子類に砂糖がたくさん含まれているのはもちろん、ジュース類にも多量に砂糖が含まれていますよね。
つい飲んでしまうジュースなどの清涼飲料水には100mlあたり約10gの砂糖が入っているため、飲む場合は量を決めると良いでしょう。
1日の砂糖摂取量を超えないように『間食に何を与えるのか』を考慮することが重要です。
幼児の砂糖摂取量を減らすポイント
幼児の砂糖の摂取量を減らすポイントは以下の5つ。
順に解説します。
おやつを与える順番を変える
お腹いっぱいになるまで市販のおやつを食べてしまうとあっという間に1日分の砂糖をとってしまうので、おやつを食べ始める前に『捕食』をとると良いです。
- おにぎり
- サンドイッチ
- 焼きいも
- ヨーグルト
- チーズ
- ゆでとうもろこし
- 果物
など幼児期に不足しがちなカルシウム、たんぱく質などの栄養をしっかりとれるものがおすすめ。
おにぎりは小さいサイズを握って冷凍しておくと、すぐに食べられます。
おやつの量と時間を変える
ファミリーパックなどの大袋で買ってしまうと、親子そろって食べすぎてしまう可能性が高まるので、4連パックなどの小分けタイプを購入すると良いでしょう。
また、あらかじめ子どもにおやつの量を伝えておくことが重要。適当に大袋のおやつをポンと置いておくと気がついたら全部食べていた。ということはよくあります。(大人でもやりがちですよね。)
「今日のおやつはお皿に出した分のポテチだけだよ。」など、その日の分のおやつをお皿に入れてあげると、食べ過ぎを防ぐことができます。
もし、「もっと食べる!」と欲しがるようなら最初はその日食べる量の半分だけ出し、「おかわり」されたら残りの半分を出すと、最終的に与える量が同じでも子どもの満足感は高いでしょう。
おやつと食事の間隔は少なくとも2時間以上空ける。食事の前に毎回強い空腹感を訴えるようなら、食事やおやつの量が足りていなかったり、食事の間隔が空きすぎているのかもしれません。
飲み物の種類を変える
おやつと同様に飲み物も重要です。
『お菓子やジュースに含まれる砂糖の量を知ろう』でも解説したとおり、ジュース類には多量の砂糖が含まれています。
おやつと一緒にジュースをガブガブ飲んでしまうと、あっという間に1日にとって良い量の何倍もの砂糖をとってしまうので、水やお茶、牛乳など砂糖の入っていない飲み物を選ぶようにしましょう。
子ども自身におやつの目安量を知ってもらう
1回のおやつの量を子ども自身に知っておいてもらうと、おやつの量を減らすのに役立ちます。
年齢 | エネルギー量の目安 | 量の目安 |
---|---|---|
1~2歳 | 100~150kcal | 子どもの片手に乗る量 |
3~5歳 | 130~200kcal | 子どもの片手に乗る量 |
6~7歳 | 150~230kcal | 子どもの両手に軽く乗る量 |
幼児期の子どもには、おやつは『自分の片手に乗る量』が目安と説明すると分かりやすいでしょう。
あわせて「おやつを食べすぎてはいけない理由は、おやつでお腹がいっぱいになると成長に必要な栄養を食事からしっかりとれないから」ということを、子どもが理解できるように伝えると食育に繋がります。
栄養成分表示を確認して、砂糖がより少ない方を選ぶ
市販されている食品には原材料名と栄養成分表示が記載されています。
原材料は使用されている食材の量が多い順に書いてあります。
商品のパッケージ(パッケージの裏側や側面)にある栄養成分表示のラベルを探します。
栄養成分表示には、以下のような情報が記載されています。
- エネルギー(カロリー)
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物(糖質・砂糖)
- 食塩相当量
「糖質」や「砂糖」という項目を見つけます。
これが砂糖の含有量を示しています。
表示されている単位(グラムなど)も確認します。
複数の商品を比較する場合、同じ単位(例:100グラムあたり、1本あたりなど)で記載されていることを確認します。異なる単位で記載されている場合は、適切に換算して比較します。
砂糖の量が少ない商品を選びます。例えば、100gあたりの砂糖が5gのものと10gのものがあれば、5gのものを選ぶのが良いでしょう。
砂糖が幼児に与える影響まとめ
砂糖のとり過ぎは肥満や虫歯だけでなく、子どもが癇癪を起こす原因にもなるため、3歳未満はできるだけ控え、3歳以上も1日18g未満におさえるようにしましょう。
市販のおやつは砂糖が多いため、幼児が不足しがちな栄養を補えるチーズやヨーグルト、おにぎりなどの食品にし、飲み物はお茶や水にします。
もし、子どもがすでに甘いお菓子やジュースを大好きな状態になっていたとしても、「甘いお菓子のストックをしない」「水分補給にジュースをやめる」など少しずつ習慣を変えることで、今よりも砂糖の摂取量を減らせます。
幼児期は自分で甘いものを買ってくるわけではなく与えられて食べるため、親が食環境を整えてあげることが大切です。
甘いものをゼロにする必要はありませんが、小さいうちから砂糖の摂取量に気を配れば、長い目で見て大きな健康効果が得られるので、取り組めそうなことから始めていきましょう。