こんな疑問を解決します。
幼児期は成長と発達が急速に進むため、からだを作る栄養素もたくさん必要になります。
からだを作るもとになる『たんぱく質』は幼児期に必要な重要な栄養素の一つ。
とはいえ、どの食べ物からどれだけ取ればいいのかは具体的にはよく分からないですよね。
この記事では幼児期に必要な栄養素である『たんぱく質』の役割やたんぱく質が多く含まれる食材、子どもに必要な量を管理栄養士である筆者が解説しています。
幼児期にたんぱく質が必要な理由
たんぱく質は筋肉や骨、肌、髪などを構成する重要な栄養素。
私たちの体の組織はほとんどがたんぱく質から構成されていると言っても過言ではありません。
そのため、ぐんぐん成長していく幼児期にはたんぱく質が十分に必要です。
たんぱく質が不足すると筋肉が衰え、運動する能力が低下してしまいます。
筋肉以外でも、免疫力低下により体調不良を起こしたり怪我をしやすい体になってしまうことも。
そのため、『良質なたんぱく質』をとることが重要です。
幼児期にたんぱく質が必要な理由を下記で詳しく解説していきます。
順に解説します。
からだを作る
たんぱく質は、体の成長と発達に必要なアミノ酸の供給源であり、幼児の筋肉、骨、臓器などの組織を形成するのに欠かせません。
また、体の機能を調節するホルモンや酵素、抗体などの材料でもあるため『たんぱく質』は非常に重要な栄養素です。
免疫機能を保つ
幼児期は免疫システムの発達が進む時期でもあります。
十分にたんぱく質をとることで免疫細胞や抗体を形成し、幼児の免疫機能の正常な発達を助けます。
『成長ホルモン』や『甲状腺ホルモン』など、子どもの成長に欠かせない『ホルモン』をつくる材料にもなっています。
エネルギー源になる
たんぱく質は、糖質や脂質と同じように幼児のエネルギー源にもなります。
炭水化物がエネルギーとして優先的に使われますが、炭水化物が不足すると体の中の脂肪やたんぱく質がエネルギーとして利用されます。
特に成長期の子どもは活動量が多く、エネルギー消費量が高いため、たんぱく質をしっかりとりエネルギー不足にならないようにしましょう。
幼児期に必要なたんぱく質の量は?
幼児期に必要なたんぱく質の量を解説します。
たんぱく質の食事摂取基準
性 | 男児 | 女児 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢等 | 平均 必要量 | 推定推奨量 | 目安量 | 目標量 | 平均 必要量 | 推定推奨量 | 目安量 | 目標量 |
1~2(歳) | 15 | 20 | 13~20 | 15 | 20 | 13~20 | ||
3~5(歳) | 20 | 25 | 13~20 | 20 | 25 | 13~20 | ||
6~7(歳) | 25 | 30 | 13~20 | 25 | 30 | 13~20 |
推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量:g/日、目標量:%エネルギー
用語解説
推定平均必要量 | 日本人の50%において、性別・年齢ごとにその量を摂取すれば、栄養素・エネルギーが不足になることはない、と定められた量。 |
推奨量 | ほとんどの人が必要量を満たす量。 |
目安量 | ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。 |
耐用上限量 | 健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。 |
目標量 | 生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。 |
幼児期に必要なたんぱく質量は『推奨量』をとれると良いでしょう。
1日あたり20~30g必要なため、1食7~10gほど。
間食を含めれば、もう少し1食あたりの量は少なくてすみます。
たんぱく質を多く含む食材
たんぱく質を含む食材を動物性、植物性に分けて紹介します。
たんぱく質含有量の多い食材を掲載していきます。
動物性たんぱく質
動物性たんぱく質の含有量が多い食材を肉・魚・卵、乳製品ごとに分けました。
肉100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
豚ヒレ肉 焼き | 39.3 |
鶏ささみ ソテー | 38.8 |
鶏むね肉 皮付き 焼き | 34.7 |
鶏ささみ 焼き | 31.7 |
豚もも肉 焼き | 30.2 |
牛もも肉 ゆで | 30.0 |
鶏ささみ ゆで | 29.6 |
豚もも肉 ゆで | 28.9 |
牛もも肉 焼き | 28.0 |
鶏ひき肉 焼き | 27.5 |
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
赤身の肉はたんぱく質と同時に『鉄分』も補給でき、積極的に食べたい食品です。
魚介類100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
ごまさば・焼き | 31.1g |
むろあじ・焼き | 29.7g |
しろさけ・焼き | 29.1g |
べにざけ・焼き | 28.5g |
クロマグロ・焼き | 28.0g |
めかじき・焼き | 27.5g |
塩サバ・焼き | 26.2g |
メバチマグロ・焼き | 25.4g |
まさば・焼き | 25.2g |
まあじ開き干し・焼き | 24.6g |
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
卵類100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
卵黄 生 | 16.5g |
卵黄 ゆで | 16.1g |
目玉焼き | 14.8g |
いり卵 | 13.3g |
ゆで卵 | 12.5g |
ポーチドエッグ | 12.3g |
厚焼き玉子 | 10.5g |
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
乳・乳製品100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
プロセスチーズ | 22.7g |
モッツァレラチーズ | 18.4g |
カッテージチーズ | 13.3g |
クリームチーズ | 8.2g |
ジャージー牛乳 | 3.9g |
無糖ヨーグルト | 3.6g |
牛乳 | 3.2g |
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
植物性たんぱく質
野菜類、豆類の中でたんぱく質を多く含む食材を一覧にしました。
野菜類100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
豆類100gあたり
食品 | たんぱく質含有量 |
---|---|
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに作成
幼児期にたんぱく質をとるときのポイント
たんぱく質を毎日の生活の中でしっかりとるには以下のようなポイントがあります。
たんぱく質がどの食品に含まれているか知っておく
ざっくりでもいいので、たんぱく質がどのような食品に含まれているかを知っておくだけでも、選べる食材やメニューの幅が広がります。
肉や魚などはもちろんですが、野菜などにも意外に多くのたんぱく質が含まれています。
食品 | エネルギー | たんぱく質 |
---|---|---|
ブロッコリー | 30kcal | 3.9g |
アスパラガス | 25kcal | 2.6g |
枝豆 | 135kcal | 11.5g |
アボカド | 176kcal | 2.1g |
そら豆 | 103kcal | 10.5g |
芽キャベツ | 51kcal | 5.3g |
とうもろこし | 95kcal | 3.5g |
バナナ | 93kcal | 1.1g |
植物性と動物性を組み合わせる
たんぱく質には『動物性』と『植物性』の2種類があり、どちらか1つだけを食べるのではなく2種類をバランスよく組み合わせて食べると良いです。
たんぱく質の種類 | 食材 | 特徴 |
---|---|---|
動物性 | 肉 魚介 卵 牛乳、乳製品 | 必須アミノ酸をバランスよく含む 筋肉づくりには必須 |
植物性 | 大豆、大豆製品 穀物 野菜 | 動物性たんぱく質と組み合わせる必要がある 食物繊維などを含む |
2つの違いはアミノ酸のバランスで、動物性たんぱく質は必須アミノ酸のバランスがよく一種類でも必要なアミノ酸をとることができます。
動物性たんぱく質は筋肉合成のスイッチを入れる必須アミノ酸である、ロイシンの含有率が高いため、筋肉づくりには欠かせません。
一方、植物性たんぱく質だけでは必須アミノ酸を全てまかないきれないため、動物性たんぱく質と組み合わせて摂取する必要があります。
間食にも上手く取り入れる
幼児にとって重要な間食で上手にたんぱく質をとりましょう。
たんぱく質の多い間食を紹介します。
食品名 | 100g中のたんぱく質量 |
---|---|
ホットケーキ | 7.7g |
ヨーグルト | 3.6g |
ずんだ餅 | 4.9g |
プリン | 5.7g |
カステラ | 7.1g |
チーズ | 22.7g |
上記のおやつは牛乳や卵、大豆が使われており、たんぱく質をしっかりとることができます。
ほかにも、きな粉が使われている『きな粉もち』や牛乳を使った『牛乳かん』などもおすすめ。
「甘いものをたくさん食べさせるのはちょっと…。」という方は『バナナ+牛乳』や『ゆで卵』などをおやつにしても良いでしょう。
色々な食品を食べる
いろいろな食品を食べることで、子どもの成長に必要な『良質なたんぱく質』を不足することなく摂取できます。
「良質なたんぱく質ってなに?」と疑問に思った方もいると思いますので、カンタンに解説します。専門的な話になるので、読み飛ばしても構いません。
良質なたんぱく質とはアミノ酸スコアが100になること。色々な食材を組み合わせアミノ酸スコア100を目指しましょう。(クリックして詳しい説明を読む)
たんぱく質はアミノ酸という成分から作られており、アミノ酸は全部で20種類あります。
20種類のうち体内で必要な量を合成できない9種類を『必須アミノ酸』といい、食事からとらないと不足し、肌荒れや低栄養などを起こします。
必須アミノ酸の充足度は『アミノ酸スコア』で数値化されており、アミノ酸スコアが100に近いほど『良質なたんぱく質』です。
米やパンにもアミノ酸は含まれていますが、アミノ酸スコアが100にはならないため、その他の食材を組み合わせて100に近付けます。
日常生活をしていく上で『アミノ酸スコア』のことまで考えて食材を組み合わせるのは、栄養の専門家でもない限り難しいので、いろいろな食品を食べて『良質なたんぱく質』をとるようにしましょう。
幼児期にたんぱく質が必要な理由まとめ
幼児にとってたんぱく質は筋肉などをつくるだけでなく、免疫機能やホルモンなどの材料になる、成長や発達に必要不可欠な栄養素。
たんぱく質には動物性・植物性の2種類があり、植物性だけではアミノ酸スコアが100にならないため、動物性たんぱく質を組み合わせてとる必要があります。
3回の食事だけではとりきれないため、間食も上手に利用して1日に必要なたんぱく質をとりましょう。