このような疑問にお答えします。
1歳半頃を目安に完了する離乳食ですが、離乳食が終わったあとは大人の食事と一緒にしてしまっても良いのか悩みますよね。
結論から言うと、1歳半〜5歳頃までは大人と同じ食事ではなく、『幼児食』を与える必要があります。
幼児は噛む力が弱く、消化・吸収機能も十分ではありませんし、大人と同じ味付けは塩分や糖分の取りすぎになり内臓に負担がかかってしまいます。
そのため、『幼児食』を与える必要があるのです。
この記事では『幼児食』について解説するとともに、『離乳食』との違いや幼児食のポイントを解説しているので、幼児食を始める前に読んで参考にしてください。
幼児食とは?
幼児食とは離乳食を卒業した頃から大人の食事にうつる前段階の食事のことで、離乳食完了期の12~18か月(1歳半頃)から5~6歳までが『幼児食』です。
この頃の子どもは、まだ歯があまり生えていないため噛む力が弱く、消化・吸収能力も未熟なため、噛みつぶしやすく消化しやすい食事を与える必要があります。
離乳食から移行する大切な時期で、一人一人の噛む力や食べる量などは異なるため、子どもの食べる様子を観察しながら移行していくことが大切です。
離乳食とは?
離乳食は赤ちゃんが食べられる形状や固さに調理した食事のことです。
赤ちゃんが成長するためには多くのエネルギーや栄養素が必要ですが、成長するにつれ、母乳やミルクだけでは十分な栄養素を補給しきれなくなっていきます。
しっかりと栄養をとるためには食べ物から摂取する必要がありますが、いきなり大人と同じ食事は食べられないため、固さや形状を赤ちゃん向けにした『離乳食』を食べさせるのです。
幼児食と離乳食のちがい
『幼児食』と『離乳食』のちがいを分かりやすく解説すると以下のとおりです。
項目 | 幼児食 | 離乳食 | 離乳食(完了食) |
---|---|---|---|
主な栄養源 | 食事 | 母乳やミルク | 食事 |
口の中の状態 | 歯が生えている (第一乳白歯) | 歯が生えていない | 歯が生えている |
食べ物の形 | 固形 | ペースト~固形 | 固形 |
食べ物の固さ | 幼児の噛む力に合わせた固さ | ドロドロ~歯ぐきで噛める固さ | 幼児の噛む力に合わせた固さ |
離乳食はペーストから始まり、最終的には固形になるため食物の形状の変化が激しいです。
一方、幼児食は見た目は基本的に変わらず、固さや大きさが変わる点も『幼児食』と『離乳食』のちがいと言えます。
まとめると、離乳食は母乳やミルクから栄養を取らなくてすむように食べ物を食べる練習段階で、『とりあえず食べ物を上手に食べられるようになる』ことが目標。
幼児食は食べ物が食べられるようになったうえで、さらに
- 食べられるものを増やす
- 色々な味を経験をする
- 食事のマナーを学ぶ
- 体をしっかり作る
など、食事を総合的に身につけるのが目標です。
幼児食を与えるときの注意点6つ
幼児食を与えるうえで注意したいポイントをまとめました。
以下で順に解説していきます。
薄味を継続する
子どもの味覚は大人よりも敏感なため、味付けは大人の半分を目安にしましょう。
大人と同じ味付けに慣れてしまうと、生涯にわたって味の濃い食事を好み、生活習慣病の原因になります。
濃い味がおいしいと感じるのは子どもも一緒です。
大人にとって「薄いかな?」と思う味でも子どもにとっては十分な量の塩分が含まれています。
子どもの健康を考えるなら、薄味を心がけましょう。
脂質の量に注意する
唐揚げやハンバーグなどは子どもが好み、食い付きもよいのでつい食べさせてしまいがち。
しかし、消化吸収能力が未熟な子どもにとって多すぎる脂質は内臓に負担をかけてしまいます。
脂質はカロリーが高い栄養素のため、とりすぎると肥満にもつながるので脂っこいものを食べる機会が多い場合は食生活を見直すようにしましょう。
鉄やカルシウムは意識してとる
鉄やカルシウムは血液や骨をつくるなど、子どもの成長に欠かせない栄養素ですが、食物からは摂取しづらいため不足しがちな栄養素でもあります。
鉄とカルシウムを多く含む食品の一例です。
とれる栄養素 | 食材の例 |
---|---|
鉄 | にぼし レバー あさり しじみ 小松菜 枝豆 ほうれん草 |
カルシウム | 牛乳 乳製品 しらす 豆腐 納豆 海藻類 |
幼児期に必要な鉄やカルシウムについて詳しく解説している記事があるので、参考にしてみてください。
栄養バランスを整える
子どもの成長のために栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
1日の食事の中で以下の食材を一つずつでも取り入れるよう意識すると、自然とバランスが良くなります。
働き | 食材 |
---|---|
エネルギーになる | 米、パン、めん類、いも、砂糖、油脂類など |
体を作るもとになる | 肉、魚、卵、大豆、牛乳・乳製品など |
体の調子を整える | 野菜、きのこ類、果物など |
3食でまかなえない分はおやつ(間食)として出してあげることで、しっかりと栄養をとることができます。
間食で足りない栄養素をおぎなう
子どもはまだ胃が小さく一度にたくさんの食事をとれないため、1日3回の食事だけでは必要な栄養素をとれません。
そのため、3回の食事にプラスして1〜2回の間食をとることが推奨されています。
間食についての詳しい解説は『内部リンク:幼児食 間食』に記載しているので、参考にしてみてください。
食べる楽しさを知る
幼児食の間は食べる楽しさを知る時期でもあります。
遊び食べや食べムラがあると、親は「マナーを守ってお行儀よく食べてほしい」という想いが強くなりがちですが、あまり叱りすぎると食事の時間が楽しくなくなってしまいます。
ある程度までは大目に見てあげて、「食事の時間は楽しい」と思えるような声かけや環境を作ってあげましょう。
また、楽しく食事をとると副交感神経が優位になり、消化吸収の機能がよく働くようになり、食べ物の栄養素を効率よく吸収できるようになります。
心と体に良い影響を与えるため、幼児期から楽しく食事をとれる環境を作っていきましょう。
幼児食のポイントを年齢別に解説
幼児食でおさえておきたいポイントを簡単に解説します。
1歳半~2歳はまだ食事を始めてからの経験も浅く、食べることに慣れていない場合もあるので子どもの様子を見ながら食べるものを増やしたり、食具の使い方に慣れていきましょう。
食べることに慣れた3歳~5歳からは食べることを楽しみながら、マナーも覚えるようにしていきます。
また、食べられるものも増えていくのでメニューを工夫したり、様々な料理に出会える機会があると食経験が豊かになりますよ。
前期(1歳半~2歳)
1歳半~2歳の子どもは色々な食品に慣れていく時期で、手づかみ食べからスプーンやフォ―クを使って自分で食べようとします。
- 床に足をつける
足の裏が床面につくと体が安定し、食べやすくなります。背面にクッションを入れたり踏み台を使ったりして食べやすい姿勢にします。
- イスに深く腰かけ背筋を伸ばす
まっすぐに座って手やひじがテーブルに楽にのるようにします。
- 調理方法の工夫
薄味を心がけ、煮る・焼く・揚げるなど様々な調理方法を取り入れるとバランスの良い食事になります。
- 歯の生え方にあわせた食事
乳歯が生えそろっていない2歳頃までは、噛
む力が弱いため、皮をむく・やわらかく煮るなど、調理方法を工夫しましょう。
- 衛生面に注意
消化・吸収機能が十分でないため、食中毒などに注意が必要です。
抵抗力が弱い子どもには刺身などの生ものは控えるようにし、肉類は十分に加熱しましょう。
- 声かけ&ほめる
「おいしいね」など声をかけながら食べ、苦手なものが食べられたときには、ほめてあげましょう。
- 食べる経験をつむ
噛む、飲み込む、前歯でかじりとるなどの経験を大切にしましょう。
- スプーンに慣れる
1歳頃は、手づかみ食べから徐々にスプーンに慣れる時期。食べやすい持ち方ができるよう、大人が手伝ってあげましょう。
- 食事中は見守る
歯で噛みちぎったりすりつぶしたりする力や、飲み込む力が十分ではないため、食事中は子どもから目を離さず、必ず見守りましょう。
- 詰め込みに注意
パンなどは唾液を吸収して飲み込みづらいため、水やお茶を飲みながら食べるとよいです。
- 丸い食べ物は1/4に切る
プチトマト、ブドウ、うずらの卵などは喉につまらせる可能性があるため4等分に切って与えましょう。(ブドウは皮・種もとる)
- 食べづらい食品は避ける
イカ、エビ、貝など噛みきりにくい食材は避けましょう。
後期(3歳~5歳)
好きな食べ物が増えます、様々な食品を知り、よく噛んで進んで食べようとします
食事づくりや準備を一緒にし、友だちや大人と楽しんで食事をします
食事のマナーが身についていきます。
- 床に足をつける
足の裏が床面につくと体が安定し、食べやすくなります。
- イスに深く腰かけ背筋を伸ばす
まっすぐに座って手やひじがテーブルに楽にのるようにします。
- 調理方法の工夫
薄味を心がけ、煮る・焼く・揚げるなど様々な調理方法を取り入れるとバランスの良い食事になります。
- 歯の生え方にあわせた食事
歯が生えそろう3歳頃からは、噛みごたえの
ある食べ物を取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。
- 衛生面に注意
消化・吸収機能が十分でないため、食中毒などに注意が必要です。
抵抗力が弱い子どもには刺身などの生ものは控えるようにし、肉類は十分に加熱しましょう。
- 食器に手を添える
茶碗や皿に手を添えて食べましょう。
- スプーンなどの持ち方に注意
スプーンやフォークは三本指で持ちましょう。
子どもが握りやすい形と大きさ、重さの食具を使用すると良いでしょう。
- 食事のマナーを覚える
「いただきます」「ごちそうさま」などのあいさつや、食事中に立ち歩いたりなどをしないことを覚えましょう。
- 食事中は見守る
食べ慣れているものでも喉につまらせる可能性があるため、食事中は子どもから目を離さず、必ず見守りましょう。
- 詰め込みに注意
パンなどは唾液を吸収して飲み込みづらいため、水やお茶を飲みながら食べるとよいです。
- 丸い食べ物は1/4に切る
プチトマト、ブドウ、うずらの卵などは喉につまらせる可能性があるため4等分に切って与えましょう。(ブドウは皮・種もとる)
- 食べづらい食品は避ける
豆やナッツ類は気管に入り窒息の危険があるため5歳頃までは避けましょう。
幼児食とは?まとめ
幼児食を食べる期間は約4年と長いですが、大人の食事に近付くための前段階として必要なステップです。
子どもが健やかに成長するための栄養素をしっかりとれるように食べやすくしたり、食事が楽しくなるような工夫をしてあげましょう。
幼児期に楽しみながらしっかり食べる習慣をつけることは、生涯にわたって食事をきちんととる基礎になります。
幼児食はややこしくて作るのが難しそう…と感じる方には冷凍の既製品もあるので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。